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Atkinsons「Oud Save The Queen」

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Atkinsons「Oud Save The Queen」

トップノート : アールグレイベルガモット

ミドルノート : ジャスミンペタル、オレンジブロッサム

ラストノート : グアヤクウッド

 

冒頭から私ごとを恥じらいもなく打ち込まさせてもらえるならば、白粉の匂いほど記憶と結びついた匂いはないと言いたい。私が初めてお付き合いした女性は、高校生という身分でありながら、化粧をしっかりとする女性で、そのすぎるほどの化粧が香らせる白粉の匂いは、待ち合わせ場所に彼女が到着する数十メートル先からでもわかる(つまりその彼女は、いつも私を待たせていた)ほどだ。私にとってこの白粉の匂いは、いつの間にか魔女のように私を魅了する女の象徴になった。

 

トップ

オールドラベルのこの香水は、もちろんヴィクトリア朝時代を生きる貴婦人のために作られたフレグランスであり、トップノートで香るアールグレイベルガモットの匂いは、イブニングへの付香を目的とされたためにその存在感の強さを持ちながら、どこかパウダリーでありミルキーな質感を持った匂いだ。

ミドル

トップノートでの質感は保たれたまま、ミドルノートに入るとそこにジャスミンやオレンジブロッサムの香りが静かに配置される。ものすごく優雅な体裁を保ちながら、その細部を覗くとものすごく混沌としていることに気づく人はどれだけいるだろうか。

ラスト

こんなに強いラストノートを体験したことはない。グアヤクウッドのバニラがそうさせるのか、その官能性は、パーティー終わりに程よく頬を赤らめた貴婦人のような魅力がある。

 

僕を待たせていたあの娘は、今も気まぐれな亡霊となって度々僕を訪れる。だから、あの娘が他の男と何をしていようと、僕はあの娘の亡霊と共に生き続けるのだ。ははは。

 

 

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