1970年代 映画について

「ハロウィン」(1978)

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「ハロウィン」(1978)

監督

ジョン・カーペンター

キャスト

ドナルド・プレザンス(サム・ルーミル)、ジェイミー・リー・カーティス(ローリー・ストロード)、チャールズ・サイファーズ(リー・ブランケット)、ナンシー・ルーミス(アニー・ブランケット)、P・J・ソールズ(リンダ)

 

あーまた、この季節がやってくる。テレビ(とりわけロードショー系プログラム)業界に洗脳された人間は、年に一度だけ無性にジブリ映画を見たくなってしまう時期がある。それと同様、一度でもジョン・カーペンターの映画を見てしまった人は、合法的な悦楽を覚えてしまった廃人のごとく彼を欲する時期がある。

たとえ物語が破綻していようとも、その的確なシーケンスによって映画は成立し、むしろその空白が暴き出すのは、構造のみになった裸の映画であり(ホラーというジャンル性からもうかがえる)、最後まで分からぬブギーマンの標的と目的以上に、いかにして自分がこの映画に恐怖を抱いたのかというときめきを抱きながら僕は、この映画を見終わった後もカーペンターの音楽を脳内で何度もループさせている。

この映画で「絶叫クイーン」の称号を得たジェイミー・リー・カーティスは、もちろん元祖「絶叫クイーン」のジャネット・リーの実の娘なのであり、つまりこれはヒッチコックの「サイコ」(1960)へのオマージュ程度の映画ではなく、強すぎる血の繋がりを持った映画なのだ。

しつこいくらいに鳴り響くカーペンターミュージックは、むしろ無音である時間帯に恐ろしく僕を不安に陥れる。とにかく、この映画のピアノの単調な音は最高である。

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