1930年代 映画について

「コンチネンタル」(1934)

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「コンチネンタル」(1934)RKO

監督

マーク・サンドリッチ

キャスト

フレッド・アステア(ガイ・ホールデン)、ジンジャー・ロジャース(ミミ)、アリス・ブラディ(ホーテンス)、エドワード・エヴィレット・ホートン(エグバート)

 

「集団的」「コスチューム」「コスチュームチェンジ」というタームがミュージカル映画のエロティシズムと関係しているのだが、プロダクションコードが本格導入された1934年に公開されたこの映画に、上記のようなエロティシズムはない。しかしなお、ミュージカル映画は死なず、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースが本格的にコンビを組んで主演した最初の映画でもある「コンチネンタル」では、「優雅」というタームがミュージカル映画を定義するための新たな指標として表現されている(今となっては、アステアは優雅な紳士という代名詞にすらなってしまっているのだが)。

 

「ナイト&デイ」という曲に合わせて踊る二人の優雅さは、アステアのダンスに潜んでいる姿勢の良さみたいな優等生チックな雰囲気と、隣で踊るロジャースのドレスの裾の生き生きとした動きによってもたらされる(ちなみにアステアは常に古臭くなることを嫌っていて、観客に飽きられないためにも前作の「空中レヴュー時代」(1933)で共演したジンジャー・ロジャースとは共演したくないと思っていた。それでもこの作品の出演を承諾したのは、ダンスシーンに関するシーケンスの全権をアステアに任せるという契約を交わしたからであって、この優雅なダンスシーンも全てアステアによって構成されている)。

 

数あるミュージカル映画、ひいてはアステア作品の中でも特に目立った作品ではないが、間違いなくミュージカル映画に優雅さをもたらした名作である。

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