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Atkinsons「Rose In Wonderland」

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Atkinsons「Rose In Wonderland」

トップノート : ローズの雫、ブラックカラント

ミドルノート : ゼラニウム、ケンティフォリアローズ

ラストノート : ベチバー、クリスタルアンバー

 

薔薇の道、薔薇色の人生、薔薇の話を続けましょう。薔薇は苦難を象徴し、幸福をもシンボライズし、ジュリエットがロミオに語った哲学にもなってしまう。口達者で雄弁な花。それが薔薇だ。

 

トップ

このフレグランスのトップノートで香るローズとブラックカラントは、突き抜けるように真っ直ぐなローズの匂いだ。決して強く向かってくるのではなく、様子を伺いながら、まるで意思を持ったように、我々の鼻腔へと大胆に吸い込まれていく。しかし、そこにはあの雄弁な薔薇の情熱は影を潜めている。

ミドル

ミドルに入り、ケンティフォリアローズの強い香りがこのフレグランスに加担するが、それは決して我々を突き放すような強さではなく、母性のように優しい強さでもある。それでいて、全体としてのトーンはここでだいぶ抑えらえる印象だ。

ラスト

緊張感を保ちながら、冷静に我々との距離を保ち続けるこのフレグランスは、最後のほんのひととき、わずかな甘さを残して去っていく。

 

これほど静かに燃える薔薇はない。最後の一瞬、線香花火のごとく鮮やかに散っていくこの冷静の薔薇は、何も語ることなくその生涯を終えていく。

 

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