セカンドコーラス(1940)
監督
H・C・ポッター
キャスト
フレッド・アステア(ダニー・オニール)、ポーレット・ゴダード(エレン・ミラー)、アーティ・ショウ(本人役)、バージェス・メレディス(ハンク・テイラー)
ポーレット・ゴダード(夫のチャップリンといざこざ有り)が全然踊れなかったし、アーティ・ショウ(魅力的な役ではなかった)の本人役出演もそこまで。アステア(全盛期は過ぎてしまった)自身も失敗作だと言っているし、興行的にも不振に終わったこの作品だが、僕はそんなに嫌いじゃない。演者としてのアステアの使い方で言えば、結構はまっていると思っている。
アーティ・ショウ楽団のトランペッターになるため、オニール(フレッド・アステア)とハンク(バージェス・メレディス)の大学生コンビ(なんども落第を繰り返し、学内バンドに居座っている)がお互いを蹴落としながら巻き起こす騒動と、ショウに引き抜かれた優秀な秘書のエレン(ポーレット・ゴダード)を巡る二人の争いをコミカルに映画いた作品。
アステアの完璧さ(コスチュームの着こなし、仕草)故にこのキャラクターはとても憎たらしく、通常この手の憎たらしさには母性という名のキュートさがオマージュされることで映画を駆動させるエッセンスになりうるのだが、そこはアステア、全くそういった母性的な要素をダンディズムという言葉で見事に跳ね返し、痛快なまでの小憎たらしいキャラクターへと仕上がっている。
ダンスシーンはほとんどないが、正直そんなに見たい気にならないし、むしろ最後にアステアがバンドの指揮を始めた時は、是非踊らないでくれとすら思ったほどだった(もちろん、指揮棒を持って小粋に踊り始めるのだが)。